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CD収録曲の紹介

今日はCDに収録されている曲の説明をしようと思います。(ライナーノーツは英語なので。。)

まず、今回のコンセプトは、コンテンポラリーなジャズヴォーカルアルバムで、今まで耳馴染みのあるヴォーカリストがよく歌うスタンダードは一切入れずに、主にインステゥルメンタルとして馴染まれている曲のみという選曲でした。
というのも、NYで勉強しだして、それまであまり聴かなかったインストのCDをよく聴く様になりその奥深さに開眼し、シンガーのCDをあまり聴かなくなった為、私にとって自然の流れと言えるかもしれません。

また、インストの曲に既に誰かが歌詞を書いて歌っている人もいましたが、その中でも気に入らない歌詞があったりで、
「それだったら自分で書いちゃえ!」
と思って、数曲は自分で歌詞を書いたり、練習しているうちに、メロディーとコードから自然と歌詞が沸いてきたものもあります。

日本ではまだまだ”スタンダード”をヴォーカルに求められがちですが(勿論、素晴らしいですし、私も歌い続けていきたいです)、こういったコンテンポラリーなジャズヴォーカルのジャンルはまだ少ないですが、欧米では普通に評価されています。

特別私がインスト曲ばかりを歌いたいわけではなく、歌詞を全てに書きたいわけではないのですが、今回のCDはNYで5年生活して来た自然の成り行きだと思っています。
是非、私が体験して肌で感じたNYを、また現地で活躍するミュージシャンの”風”をCDを通して感じ取って頂ければ、と願ってやみません。

それでは、収録されている10曲を紹介します。

1.High Wire
チック・コリア作曲。彼のCD、The Echoes of an Era 内でチャカ・カーンが歌っていた。
オープニングに相応しいように、ヴォーカルとホーンのラインも今回アレンジし直した。

2.Confirmation
チャーリー・パーカー作曲。大学に教えに来てくれていた、レジェンドリー・ジャズシンガーであるシーラ・ジョーダンのクラス内での課題曲。昔、彼女の同級生が歌詞を書いたそうな。
この曲のコード進行をコピーして、ピアニストのホレス・シルバーが書いた曲Juicy Lucy のメロディーを、ドラムと掛け合いのコーラスに持ってくるというアレンジをした。

3.Hana & A Flower Is a Lovesome Thing
日本人の方だったらよくご存知の(沖縄の喜納昌吉さん作)と、エリントンの相棒であったビリー・ストレイホーン作曲のA Flower Is a Lovesome Thing両方とも”花”を称えた曲ということもあり、ミックスしちゃいました。A Flower~のメロディーが始まる前にピアノが奏でるメロディーに、沖縄の音階を付けました。
ストレイホーンの不思議なハーモニーに、その音階がフィットするかな、と。

4.Another Yes or No
ウェイン・ショーター作曲で彼のアルバムJuJu に収録されている曲。歌詞を書いたのでタイトル変えていますが元々はYes or No
ガラッと原曲の雰囲気を変えたアレンジをしました。
歌詞を仕上げるのに実に半年は掛けたでしょうか。。フゥ~。
”決まりきった選択でなく、鳥の様に自由に空を漂いつつ、自分の選んだ道を恐れずに自分自身のAnswer(答え)を見つけ出そう。その先には、自分の世界が見える。I can see the World!”で終わっています。

5.Jungle City New York
セロニアス・モンク作曲で、元はBemsha Swing
実はこの曲、大学に行ってた時に今は経営破綻したアメリカ大手のジャズ機関IAJEが当時開催していたパフォーマンスの1つの枠で、全米の女性のみのジャズを学んでいる大学生という条件のオーディションがあって、それに学校から推薦もらって応募したんですが、その時の課題曲。
シンガーも勿論インプロ必須だったんですが、それだけじゃつまらないと、日本語詞を付けました。
へんてこメロディーとコードに合う、へんてこ歌詞です。
NYってこんな所だよ~って私なりに言ってます。

6.Footprints
またまたショーターの曲。CDタイトルです。
元々はピアニストのMike Holoberのアレンジクラスで、最後の提出曲だったんです。
何とその時のベースは、ジョン・パティツッチ!それを知って、早速ベースラインを強調したっけ(笑)。
クラスでは5管のラインを書いていたんですが、今回はそれを3管風に書き直して、トップの2ラインを私の声で表現してみました。下の1ラインをフリューゲルのScott Reeves にトロンボーンでプレイしてもらいました。
アレンジ譜でドラムのシンバルまで緻密に書いたことはなく、今回初めて!
普段ライブではこういったことは実現不可能ですが、レコーディングならでは、ですよね。
こういうの、前からしてみたかったんですよ♪
是非、じっくり聴いてみてくださいね!!

7.Now's The Time Giant Steps
コルトレーン作曲の言わずと知れたGiant Stepsコード進行が一定の規則の中で少しずつ変化して行くところからインスピレーションを受け、歌詞を書きました。
”人生はノンストップ・メリーゴーランドの様に止まらない。それはゆっくりで変化がないかも知れないけど、ちょっと後ろを振り返ってみよう。ほら、自分のスタート地点があんなに遠くにあるよ。その道のりをゆっくりでも貴方が自分で歩んできたんだよ。Small stepsがGiant stepsを生むんだよ!さあ、今だ!!”
エクササイズの様な楽器のインプロがどうしても苦手なので、可愛らしくボサノバでやってみました。
それから、ヴォイスとギターで可愛いラインを書いて、ピアノソロの後にデュオってます♪

8.Without A Trace
フリューゲルのScott Reeves作詞作曲のオリジナル。彼のバンドでは前から演奏し録音もしているインスト曲。
「君に合うんじゃないかな?と思って。」とまだ誰も歌ったこともなかった曲を提供して頂き、何度も一緒にライブで歌う内、彼の深い歌詞も自分のモノになってきたので、今回の録音に踏み切った。
”あの愛し合った頃の思い出が、キスがいつも片時も離れない。暗黙のサヨナラが付きまとう。あの時キミの元を去る前、キミを引き止めることを僕は十分しなかたのだろうか?僕はそれまで気付かなかった。僕達の愛がすでに光となって消えてしまったことを、跡形も無く。静けさだけが、僕に語りかける。I must let you go...”

9.Along Came Memory
ベニー・ゴルソン作曲。歌詞を書いたので、元タイトルはAlong Came Bettyこれもまた難しいコード進行!インプロ泣かせですね。でホントに泣きそうになりながら、大学のクラスの為に(スキャットのみで・・)練習してたんですが、突然(っていうか現実逃避?)ハーレムのアパートの窓辺から見える雨模様が私の心をメランコリックにさせて、ふと日本語歌詞が沸いてきました。
それで、インプロするのがやっぱり駄目だったので(笑)、ヴォースとホーンからなるハーモニーでShout chorusを書きました。

10.Turn Out The Stars
ビル・エヴァンス作曲。Gene Lees作詞。
何とも美しいメロディーに、歌詞でしょう。
しかしコード進行もコロコロ変わり、そのテンション・ノートをメロディーに持ってくるところは、何ともエヴァンス流。
”貴方が居なければ、意味がないの。だったら、私の為に全ての星を光を、海のうねりを、川の流れを止めてちょうだい。光のない、夜にして。”という実はクールな曲の雰囲気とは裏腹な強烈なラブソングです。その局面が面白いですね。


ということで、是非是非東かおるの”Footprints in New York”をお楽しみ下さいね~~!!
リリースは7月19日です。
CD収録曲の紹介_b0148714_13411498.jpg

ちなみに、今日から大阪日本橋のJoshin内Disc Pierさんにて、CDを大きく展開して頂いております!!是非こちらの方にも足を運んで下さいね!よろしくで~す!
by kaorumusic | 2008-07-16 23:40 | CD

【ジャズヴォーカリスト・ヴォーカルコーチ・プロデューサー】東かおるの日々を気軽に綴るブログです


by kaoruazuma
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